マタハラ・育児ハラスメントの対処法|知らないと損する法的保護を完全ガイド
「妊娠を報告したら、遠回しに退職を勧められた」 「育休から復帰したら、担当を外されて雑務ばかりに」 このような経験をされていませんか? 厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査(2023年)」によると、 妊娠・出産・育児を理由とするハラスメント(マタハラ)を 経験した女性労働者は約26.3%に上ります。 マタハラは法律で明確に禁止されている行為です。 本記事では、マタハラの具体例から法的保護、対処法まで徹底解説します。
1. マタハラとは?定義と具体例
マタハラ(マタニティハラスメント)とは、 妊娠・出産・育児休業の取得などを理由とする、 職場での不利益な取扱いや嫌がらせのことです。 厚生労働省は、マタハラを「制度等の利用への嫌がらせ型」と 「状態への嫌がらせ型」の2つに分類しています。
| 類型 | 具体例 | 該当する行為 |
|---|---|---|
| 制度利用への嫌がらせ型 | 育休取得を申し出たら嫌味を言われた | マタハラに該当 |
| 制度利用への嫌がらせ型 | 時短勤務を理由に昇進を見送られた | 不利益取扱いに該当 |
| 状態への嫌がらせ型 | 妊娠を報告したら退職を勧められた | マタハラに該当 |
| 状態への嫌がらせ型 | つわりで休んだら嫌味を言われた | マタハラに該当 |
| パタハラ | 男性の育休取得を上司が拒否した | パタハラに該当 |
📊 マタハラの実態
厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査(2023年)」によると、 マタハラを経験した女性のうち、会社に相談した割合は約45%にとどまります。 相談しなかった理由として「何も変わらないと思った」が最も多く、 泣き寝入りしているケースが多いのが実情です。
2. 法律による保護と禁止行為
マタハラに対しては、複数の法律が労働者を保護しています。 まず、男女雇用機会均等法第9条第3項では、 妊娠・出産を理由とする解雇や不利益取扱いを禁止しています。 また、育児介護休業法第10条では、 育児休業の申出や取得を理由とする不利益取扱いを禁止しています。
さらに、男女雇用機会均等法第11条の3および 育児介護休業法第25条では、事業主に対して マタハラ防止のための措置を講じる義務を課しています。 具体的には、相談窓口の設置、ハラスメント行為者への対処方針の明確化、 相談者のプライバシー保護などが含まれます。
禁止される不利益取扱いの具体例
法律で禁止されている不利益取扱いは多岐にわたります。 解雇、雇止め、契約更新回数の引き下げは当然禁止です。 降格、減給、賞与の不利益算定も禁止されています。 不利益な配置変更、自宅待機命令、 正社員から非正規への変更も不利益取扱いに該当します。 退職の強要はもちろん、退職を「勧奨」する行為も、 妊娠・出産を理由とする場合は違法です。
ℹ️ 妊娠中の解雇は原則無効
労働基準法第19条により、産前6週間・産後8週間の休業期間中と その後30日間は解雇が禁止されています。 この期間中の解雇は、理由を問わず原則として無効です。 ただし、天災等やむを得ない事由で事業の継続が不可能な場合は 例外として認められることがあります。
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無料でキャリア相談する3. 証拠の集め方と記録の取り方
マタハラに対処するためには、証拠の確保が極めて重要です。 発言やメールの内容、日時、場所、証人の有無を できるだけ詳細に記録しましょう。
記録の方法としては、まずハラスメント日記をつけることをおすすめします。 いつ、どこで、誰に、何を言われたか(されたか)を 日付順に記録していきます。 メールやチャットのメッセージは、スクリーンショットを保存しておきましょう。 音声の録音は、業務上の会話であれば録音者が当事者である限り、 相手の同意なしに録音しても違法にはなりません(秘密録音)。 ただし、録音の際は法的なリスクもあるため、 事前に弁護士に相談しましょう。
診断書も重要な証拠になります。 マタハラによるストレスで体調を崩した場合は、 心療内科や産婦人科で診断書を取得しておきましょう。 業務との因果関係が認められれば、労災の申請も可能です。
4. 相談先と解決までの流れ
マタハラを受けた場合の相談先は複数あります。 まず、社内の相談窓口やハラスメント担当者に相談しましょう。 事業主にはマタハラ相談窓口の設置義務がありますので、 窓口が分からない場合は人事部に確認してください。
社内での解決が難しい場合は、外部の相談機関を利用しましょう。 都道府県の労働局には「雇用環境・均等部(室)」があり、 男女雇用機会均等法や育児介護休業法に関する相談を受け付けています。 労働局による助言・指導・勧告や、紛争調整委員会による調停も 利用できます(いずれも無料)。
労働局の対応で解決しない場合は、 労働審判や訴訟といった法的手段も検討できます。 労働審判は原則3回以内の審理で解決を目指す制度で、 通常の訴訟より迅速に結果が出ます。
⚠️ 相談したことを理由とする不利益取扱いも禁止
マタハラについて相談したこと、または労働局に申告したことを理由に、 解雇や不利益な取扱いをすることは法律で禁止されています (男女雇用機会均等法第17条第2項、育児介護休業法第52条の4第2項)。 相談をためらう必要はありません。
5. 退職を迫られた場合の対処法
妊娠や育休を理由に退職を迫られた場合は、 まず冷静に対応することが大切です。 その場で退職届にサインしないでください。 一度提出した退職届は、撤回が認められない可能性があります。
退職勧奨を受けた場合の具体的な対処法として、 まず「退職する意思はありません」と明確に伝え、 その発言を記録に残しましょう。 退職勧奨が執拗に繰り返される場合は、それ自体がハラスメントに該当します。 会社の対応を書面で記録し、労働局や弁護士に相談してください。
万が一、妊娠・出産を理由に解雇された場合は、 解雇は無効である可能性が高いです。 解雇通知書を受け取り、速やかに弁護士に相談しましょう。 解雇が無効と判断された場合、解雇期間中の賃金を 遡って請求することができます(バックペイ)。
ℹ️ まずは専門家に相談を
マタハラ問題は一人で抱え込まないことが大切です。 弁護士に相談しましょう。 法テラス(0570-078374)では経済的に余裕がない方向けに 無料法律相談を実施しています。 また、厚生労働省の「マタハラ等相談窓口」(0570-064-110)でも 電話相談が可能です。 退職代行サービスを利用して、会社との交渉を専門家に任せる方法もあります。